Linux業界とやらでの社長人事情報、VA Linuxとミラクル

昨日、弊社OSDNの元親というか、分離する前の所属先会社であるVA Linux社で代表取締役社長の交代がありました。VA Linux社の設立以来ずっと代表取締役を務めてきた上田哲也さんが退任し、住友商事側から新任の中村さんが送り込まれてくることになります。上田さんは住友商事本体に戻り、ネットビジネス関連を仕切ることになっているようです。


上田さんと私は、かつてUSに存在したVA Linux社への投資あたりからの知り合いで、いろいろOSS業界について話し合ううちに、日本でVA Linux社を設立するにあたって、上田さんから誘われてVA Linux社に入社したという経緯があります。その後すぐに、US側がLinuxビジネスを撤退したおかげで、VA Linux社は住商、NTTの日本資本にてLinuxカーネルビジネスを一から作り上げてきたわけですが、上田さんがうまく株主、顧客、エンジニアの間をうまくつなぎあわせてきたので今日まで残ってきたの
だと思います。私はVA Linux社設立依頼、上田さんを補佐するようなポジションだったわけですし、
現在のOSDNを構成するSlashdot Japan、SourceForge.JP、Open Tech Pressというサイト群を「オープンソースという言葉そのものを日本で広めるため」という企業としては実に不合理な理由で運営を開始することを理解していただけたということもあり、今回の退任には非常に感慨深いものがあります。
また、OSDNの分離にあたっては、分離する方にもなるべく不利にならないように、両社に利益に出るような線で折り合いをつけていただいたのも、OSDN側に取っても恩義を感じるところです。


上田さんは、VA Linux社設立後の8年間において、Linuxカーネルのビジネスを育て上げただけでなく、
住友商事のオープンソース関連投資にも深く関わってきました。私も末席にてお手伝いすることもありましたが、上田さんはVA Linux社の技術リソースと住商のネットワークを駆使し、MySQL AB、XenSourceなどへの投資を実現しています。昨年にそれらの住友商事のオープンソース投資は、
MySQLはSun、XenSourceはCitrix、ZimbraはYahoo!と非常に派手なexitの結果を出し、特に初期のMySQLには私がCEOと連絡を取り合ってたこともあって、非常に驚きました。おそらく昨年の日本のOSS業界でもっとも大きな利益を出した会社とも言えるでしょう。VA Linux社での実業の仕切りと投資を並行してこなし、昨年あたりでにそれが結果として揃ってきたということもありますので、上田さんが住商に戻るというのはいいタイミングなのではないかと思います。


もう一件、書け書けというリクエストが聞こえてきたので書くことにしますが、


同日にミラクル・リナックスも新経営体制を発表しています。前社長も新社長も面識はありませんし、日本オラクルの意向なのかな、と考える程度なので特に書くこともないと思っていたのですが、おごちゃんのブログあたりが話題になっていたりするそうです。何かと思えば、リリースをよく読むと、吉岡氏が取締役CTOを退任するようです。おごちゃんがある程度はほのめかしてますし、ターボリナックスのようにIRから批評もできませんので、あまり突っこんでは書きませんが、単に降格人事を出しただけで何を一所懸命になっているのだろうと感じます。これまで吉岡氏は、ハッカーにやさしい技術系企業と見せかけるマーケティング会社を主導してきたのだと私は考えていますが、その体制で無理があると感じ、それを変えたいという人達がいたということでしょう。エンジニアの大量流出や退職されたアシスタントのブログ書き込みからも、いろいろ溜っていたのではないかと推測できます。


新体制ではどのようなビジネスを展開するのかまだ分かりませんが、創業時からのしがらみを捨て、人心一新で再スタートというのは悪いことではないと思います。おそらく、財務状況的には、ターボリナックスとは異なりそれなりに健全な売上と利益があるのではないかと想像しますし、Oracleの売上の土台があり、Asianuxという中国キーワードを使えるポジションにいますので、地道にエンジニアリング力の強化と拡販に努めれば、10-20億円規模ぐらいまでは普通に成長できるのではないかと思います。


ちなみに、日経BPには
記事が掲載
されていますが、記事での事業計画の画像に金額単位が見えないことをちゃんと記者が突っこんだのかとか、「Linuxカーネルに世界で5番目にパッチ」というのは一体どこからというのはちゃんと記者が突っこんだのかとか、気になるところではあります。OSDNの編集者であれば普通に突っこむポイントなのですが、どうも日経BPのオープンソース関連はこのあたりが弱いですね。

佐渡 秀治 について

President & CEO, OSDN K.K.

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