ターボリナックスはどこへ行くのか?


ターボリナックス、2007年6月中間期の業績予想を下方修正(OTP)


こんなインパクトが大きな数字でも、もはやOpen Tech Pressぐらいしか記事にしていないということで、いろいろ各所からターボリナックスの現状について聞かれるのだが、はっきり言って中のことは全然知らないし、事業的にもあまり関心もない。それでも私ぐらいしか話したり、書いたりしないだろということらしいので、私が知り得る範囲のことと、何となく推測できることを並べてみる。


今回の控えめなIRの発表は、6月締となる2007年中間決算の売上だけの下方修正の予測である。収益については、おそらく中間決算発表の直前にでも発表するロジックなのだろう。で、中身についてであるが、売上高予想を従来予想の6億3200万円から3億8500万円に39.1%下方修正したと発表したということである。これだけでもなかなかインパクトがある数字だが、実はこの連結ではなく単体の方が重要で、5億200万円から2億3400万円への53.4%減という予想の方が大きな意味を持っていると思う。連結分から差し引いた1億5000万円あまりは、子会社のZend JapanとLaser5の売上であり、つまりターボリナックス本体はturbolinux OS事業、PBX事業、Wizpy事業の3事業を合わせて、半期で2.34億円の売上しか出せなかったということである。Zend JapanとLaser5については小さな会社なのであまり影響がないが、本体の数字としてはあまりにも寂しいように思える。


また、ターボリナックスはその事業の軸足をOSからWizpyへ移そうとしているように見えるわけで、Wizpyの売上および販売本数が気になってくるが、そのような数字は公表されていないし、出荷本数もよく分からない。ということで、業績で判断することになるが、昨年06年度のターボの単体での四半期売上を並べると、Q1:2.09億円、中間:3.36億円、Q3:5.57億円、年間:6.86億円となる。つまり、四半期毎の単独での売上は、ライブドアショック以後も、06Q2で1.17億円、Q3で1.31億円、Q4で1.29億円あったということで、この
売上はほとんどturbolinux OS製品関連の売上ということになるだろう。製品としての大きなアップデートはなさそうなので、この売上は長期的なサポートか何かの固定的売上の比率が高いと思われるが、よって四半期毎に1.2億円前後の手堅い売上が存在していたのではないかと推測できる。


そこで、今年07年度の数字であるが、Q1の単独決算では売上が1.44億円であり、ここには2月に開始されたWizpy事業の数字が入っていることになる。さらに今回の修正予測では中間の単体で2.34億円だったわけだが、06年度のQ4までのOS事業の数字を当てはめて、OS事業だけで2.4億円の売上と予測すると、それだけで今回発表の数字を越えてしまうことになる。これだとWizpyは1円の売上もないことになってしまうので、OS事業については、3月末あたりでサポートが大幅に切れたとか、製品が古くなったことによって売上が減少した
等の要因を考慮し、OS事業では07Q1は1.2億円の80%になる0.96億円、Q2では60%となる0.72億円の売上にまで減少したと仮定してみる。
そうすると、合わせて1.68億円の中間での売上ということになり、2.34億円から差し引いた0.66億円、つまり6600万円がWizpy事業の売上と仮定できることになる。単価を3万円とすると、この売上の場合、2200台の販売ができたということになる。


まあ、これは単なる机上の計算であり、実際には今年の1-3月にものすごい勢いでビジネスモデルのチェンジがあり、ほとんどの売上がWizpyになっている可能性がないわけでもない(ただし、その逆もあるが)。ただ、それでも現実として売上がQ2では単独で1億円を切ってきているレベルにまで落ち込んでいる
ことは事実であるし、1万台も売りに売って3億円の売上にしかならないWizpyでは少々険しい道が待っているように思える。


昨年12月末でターボリナックスは81名の連結従業員をかかえているとのことだが、直近の四半期の数字で売上原価が50%ほどの比率で、販管費は2億円を越えているようだ。これで組織を維持するための売上を考えると、15億円程度は年間売上が必要になるわけだが、現状ではその半分までも到達できるのか怪しくみえてしまう。この点からも厳しい道に見えてくるだろう。


今回発表の数字については、素人からの見方としてはこんなところだが、ターボリナックスについては、今年2月に突然摩訶不思議なタイミングでMSCB発行をやってみて、10億円を調達したという動きもあった。MSCBを引き受けた日興シティは、今も転換した株をちょいちょいと売り抜けているようである。当時は、Wizpy事業のためという説明があったが、今の現状からすると運転資金の性格が強いのかもしれない。ただ、2005年のIPOでターボ本体の財布に入ったキャッシュが枯渇しているようにはどうも思えないので、どうもそのへんはよく分からない。キャッシュが消えるわけじゃないのだから、外からは見えないMCSB発行の理由があるのかもしれない。


あとは、親会社のライブドアとターボリナックス双方ともにターボ株の第三者への譲渡へ昨年から前向きであることは周知だったわけであるが、わざわざ今年の2月にあらためてライブドア平松社長同席でターボリナックス株の譲渡プロセスを開始をアナウンスしたという動きも謎である。それでいて未だに何の発表すらないということは、2月の発表は株譲渡先募集の周知目的の性格が強かったということだろう。ただ、現在のターボリナックスの株価は8万円あたりで、時価総額は70億円を越えている。ライブドア保有分を時価で引き取るだけでも40億円程度となるが、その値段で買い取って、5年でのれん代を償却ということを考えると、年間に10億以上は利益を出せる構造にすぐ変える自信があるところでないと引き取れないだろう。これは非常に難しいとしか言えない。資本については、もうあまりいじりようがないというのが現実かもしれない。資金調達については、MSCBまでやってしまってるので、次はさすがに何ができるかは私には想像もつかない(そもそもMSCBすら想像つかなかった)。


ターボリナックスはどこに向かおうとしているのかよく分からないが、一時期、国策ディストロとして祭り上げようとしていた人々が今の現状を見て
どう思っているのか、たまに聞いてみたいと思うときもある。そもそもあの手の手法でのディストロビジネスがうまくいく可能性は限りなく低いわけだが、
それでも米国本社倒産、ライブドアショックと悲惨な目にあってもまだ存続しているのはある意味すごいところではある。まあ、それでも上場会社は簡単には消えてなくならないものなので、今後は残っている社員次第なのだろう。

佐渡 秀治 について

President & CEO, OSDN K.K.

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