Debconfにて開発者イベントの大変さを思う

今回のDebconfには鵜飼さん、武藤さんをはじめとした日本人開発者もそれなりの人数が参加している。なので日本語で状況が伝わってくるので有難いかぎりである。弊社のSimonもなかなか頑張っているようだ。

このDebconfは年に一度、数百人のDebian開発者が一週間一ヶ所に集まって、合宿的におこなうイベントであるが、世界各地に開発者が散らばりすぎるDebianだけに開発者がリアルに議論する場というのは貴重なようである。開発者以外の人間も少々参加しているようだが、日本からはなるべく多くのDebian開発者を送り出すようにしたいものだ。

そう言えば、Debianに関して最近何か勘違いしている人もいるようだが、Debconfのスポンサーに大手企業だけでなく、Progeny, Lispire, Xandros そして何かといろいろ言われることも多いUbuntuもスポンサーとして参加していることが見てとれるように、Debianという枠内に様々な立ち位置の企業と個人が共存していることは見過ごしてはいけないだろう。もちろん、我がVAリナックスもその一員である。

で、本題に移ると、このDebconfの日本開催案というのもあるわけだが、これについては武藤さんらには前々から言っていることなのだが、実現性は低いと言わざるを得ない。100人を越える開発者に対して、渡航、宿泊、食事の面倒を行い、さらにイベントそのもののサポートを行うとなると、かるーく1,000万を越える予算規模となるわけだが、日本国内でDebianというキーワードで金を集めるのは至難の技である。Debconfは毎回ほとんどの収入をHP, Intel, IBM, Nokiaといった企業からのスポンサー収入によって賄っているわけだが、日本国内ではここを期待できそうもない。今回のDebconf5にはVAリナックスもスポンサー料を負担しているが、国内開催だと他にどこが出せるのか見当もつかないというのが本音だ。広報的な見返りすらほとんどないイベントに高額のスポンサーシップはやはり難しい。

あとはマネジメントの問題等もあるわけだが、無理やり日本でやるよりは欧州か南米あたりで持ち回り、政府が出してくれそうなら中国も入れるというスタンスでまわしたほうがいいだろうと思ってしまう。

そもそもではあるが、日本では開発者のためのイベントというのは非常に企画しにくい構造になっている。Debconfのような形態でなくとも開発者が一ヶ所に集まるイベントというのはそれなりに意味があることではあるのだが、日本では規模を小さく身内だけの内輪でやるか、もしくは大規模なマーケティングイベントのオマケ的にどさくさに紛れて開いてしまうかぐらいしか方法がないように思う。

この一番の原因は開発者イベントには企業から金が出にくいということがある。それなりの規模になればスポンサー収入というのもアテにせざるを得なくなるわけだが、そもそも国内ではそのソフトウェアで企業が利益を得ていても社外の開発主体に対して金銭を出す発想がない企業もあるし、イベントへのスポンサーの可否は広報的影響しか考慮しないという企業も多い。外資系ベンダーは本国では社外の様々な開発グループに対して直接的に金銭支援をすることも多いが、そのようなベンダーであっても日本法人では全くルールが異なるというのもよくある話である。私の経験上でも外資ベンダーの本国のマーケではOKが出ても、日本での開催の場合は日本法人の予算になるので日本法人側で蹴られるということがあった。日本は妙に経済規模が大きいこともあり、ローカルカンパニー側で開発系には金は出さないと決められると、それを覆すのはほぼ無理というのはよくあることである。

佐渡 秀治 について

President & CEO, OSDN K.K.
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